1.エノログとは
エノログとは、高等教育又は大学の学位によって確認された科学的・技術的知識を基に、ワイン専門分野の職務を行なうことができる醸造技術者とされています。フランス、イタリアなどでは大学で醸造用ブドウ栽培及びワイン醸造に関する専門課程を修了し、ワイナリー等において実務研修を終えた者に与えられる国家資格です。エノログが行なう職務はワインに関連する研究、醸造用ブドウ栽培の管理、醸造場機器・薬品の管理、ワイン醸造管理、醸造用ブドウ及びワインの分析・解析、ワインの官能検査・品質評価、ワイン醸造に関する技術指導、醸造場の技術面からの経営管理、など広範な分野に及んでいます。
このように、ヨーロッパにおいては、エノログは薬剤師、医師、弁護士等と同様に国家資格として広く社会に認知されています。また、国際ブドウ・ワイン機構(O.I.V.)の規則では、O.I.V.が後援する国際的なワインコンクールは、審査員の過半数をエノログで構成することが規定されています。
2.日本では
日本にはエノログに相当する国家資格がないため、一般社団法人葡萄酒技研会エノログ部会で、海外においてエノログの国家資格を取得した者、又は、国際エノログ連盟の規定に基づき、工業高等専門学校、大学、大学院でワイン醸造に関連する科学及び技術の知識を修得し、3年以上の実務経験を持つ一般社団法人葡萄酒技術研究会会員で、エノログ部会長によりエノログとしての資質を満たし適格であると認められた者をワイン醸造技術管理士(エノログ)として認定しております。
3.一般社団法人葡萄酒技術研究会エノログ部会(以下エノログ部会)について
一般社団法人葡萄酒技術研究会会員のうち、上記のワイン醸造技術管理士(エノログ)で構成した部会です。国際的には日本エノログ連盟(U.J.Œ.:Union Japonaise des Œnologues)という名称で国際エノログ連盟(U.I.Œ.:Union Internationale des Œnologues)に登録され、日本を代表する唯一のワイン醸造技術管理者の機関です。
なお、エノログ部会は、葡萄酒技術研究会(1956年6月16日設立)の50周年記念事業として2006年4月1日に同研究会内の部会として発足し、初年度に71名のエノログ資格認定を行いました。2013年6月15日現在、124名が資格を認定されています。
圃場、醸造場における年2回の実地研修会の他、随時開催する情報交換会をとおして、国内外のエノログとの交流と部会員各自の技術向上を図っています。
4.国際エノログ連盟(U.I.Œ.: Union Internationale des Œnologues)との関係
国際エノログ連盟は、国際ブドウ・ワイン機構(O.I.V.)のオブザーバーとして、ワイン醸造用ブドウ栽培からワイン醸造全般に関し、O.I.V.の活動を技術面から支援しています。エノログ部会(日本エノログ連盟(U.J.Œ.:Union Japonaise des Œnologues))は、2006年9月に国際エノログ連盟に加盟を申請しました。書類審査や実態調査を経て2009年2月26日に国際エノログ連盟パリ総会においてオブザーバーの資格での加盟が全会一致で承認されました。その後、3年間の国際的な活動を経て、2011年12月12日に国際エノログ連盟パリ総会で、全会一致で正会員として加盟が承認されました。
現在、エノログ部会は、国際エノログ連盟の会員として、O.I.V.が後援する国際的に権威のあるワインコンクールに、毎年、審査員を派遣しております。